カ ト リ ッ ク 土 浦 教 会

山田宣明神父からのメッセージ NO.3 (2006.6)
アベ・マリア


「アベ・マリア」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。グノー作曲の「アベ・マリア」でしょうか。 有名な作曲家が多くの「アベ・マリア」をつくり、教会音楽でもグレゴリオ聖歌をはじめ、さまざまな旋律が歌われております。 現代に作曲されたものも結構あるようです。
アベ・マリアは、もともと聖母マリアに対する祈りを意味します。 日本語では「天使祝詞」と呼ばれている聖母マリアに対する「取り次ぎの祈り」です。 教会では様々な祈りや公文書の名前が、ラテン語の冒頭語によって呼ばれる習慣がありますので、この祈りに「アベ・マリア」という名が付けられました。
ところで、聖母マリアは神様でないのに、聖母マリアに対する祈りがあるのはおかしいと思われるかも知れません。 確かに、厳密な意味で祈りは神に向けられるものですから、その通りです。 しかし、キリスト教では、お互いに祈り合う習慣もあり、家族や友人に「私のためにお祈りして下さい」と頼むことがよくあります。 その相手が、今この世に生きている方だけでなく、既にこの世を去った方にも範囲が拡げられます。 もうこの世には居ない自分の両親や祖父母に祈りをお願いすることもあります。 特に「聖人」と呼ばれる方々には、よく祈りを頼む習慣があります。 それらを、神に対する祈りと区別するために「取り次ぎの祈り」と呼んでおります。
何と言っても聖母マリアは、イエスのお母さんです。 イエス・キリストと最も心が近く結びついているお方です。 そこで、聖母マリアに祈りをお願いする「取り次ぎの祈り」が広く親しまれ、そのお願いが聞き入れられた体験の積み重ねが膨大となり、 この祈りは、至る所で唱えられるようになりました。
アベ・マリアの歌は、ラテン語です。内容的には、前半は、聖母マリアへの呼びかけです。 マリアにイエスの受胎を告知する天使の挨拶と、 マリアが親戚のエリザベトを訪問したとき、エリザベトが聖霊に満たされて揚げた喜びの叫びとを結び合わせたものです。 共に、ルカ福音書1章からとられております。 後半は、マリアに対して、私たちのためにお祈りしてくださいというお願いです。
ちなみに、アベ・マリアの現在カトリック教会で使われている日本語訳は、次の通りです。

恵みあふれる聖マリア、主はあなたとともにおられます。
主はあなたを選び、祝福し、あなたの子イエスも祝福されました。
神の母聖マリア、罪深いわたしたちのために、
今も、死を迎えるときも祈ってください。アーメン。
8月15日は、カトリック教会で「聖母マリアの被昇天」というお祝いがあります。 殆どの教会では、夕方にミサが捧げられ、その後パーティーが開かれることでしょう。

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